2013年08月29日

ヒトの限界(2)

高校時代、青春などというスウィートなものなど捨ててただ単に「足が速くなりたい」と打ちこんだ陸上・短距離を経験したのもあり世界陸上TV中継は毎晩クギ付けでありました。

お客さんとの会話で
「100m走ったって余裕な顔してんけど、あれじゃ新記録出ないだろー」
そうですね…陸上競技を経験してないと分からないのかもしれません。マラソンとかのようにゴールしてブッ倒れることもないですし。そこで選手の名誉挽回とはおこがましいのですが、短距離走での体力消費を説明します。

普通に学生生活を送れば100m走を走る事はあっても200m走400m走はまず経験しないのではないでしょうか。都内の学校のように学校のグランドが広くなければ100m走ですらカーブを利用しての計測かもしれないですね(200m走のように走る)

ここからは陸上競技に打ち込んでいる人の体力を基本にして説明していきます。
まず100m走ですが100m走でゼエゼエ疲れる奴はいません。高校生レベルであれば予選でも11秒台が当たり前なので(ワタシのベストは11.7秒)11秒間の全力疾走くらいじゃ息なんか上がりません。つまり100m走では100%の力を出し切れていないんですね。

次に200m走ですがここからは全力を出し切れるゾーンに突入します。都・府・県大会の準決勝以上のレベルなら完全に体力を使いきります。予選レベルだと180mは全力で走り残り20mは惰性と根性で走る感じ。短距離走の華は100m走であることは明白ですが本当の実力を計るには200m走の方が分かります。スタートからの瞬発力・持久力の両方を兼ね備えないと200mを全力で走りきれません。現実に100mが速い人は200mも速いですから。200m走はカーブを使っての走行ですが、もし200mの直線で測る事ができれば200m走こそが短距離走の華となるのではと思います。

そして400m。これはもう地獄…は言い過ぎだけど罰ゲーム級にシンドイです。400m走からは完全にペース配分との闘いになります。セオリーでは200mを85%くらいで走り、残りは惰性と気合で走りきるってとこでしょうか。カールルイス時代もそうでしたが100・200で2冠を獲っても400には参加しない選手がほとんどでウサイン・ボルトも例外ではありません。なので単純に100mX4倍とか200mX2倍てワケじゃないんです。では400mをペース配分を全く考えずに走るとどうなるか?ワタシは経験済みですが(しかも公式大会でやっちまった)200mを過ぎた辺りで筋肉のドロップダウンが来ます。こうなると自分の意思とは真逆に筋肉が言う事を聞いてくれません。走っているのに歩くより遅くなります。これ大袈裟じゃないですよ、ホントです。

このドロップダウンが来ると筋力はなかなか回復してきません。これは短距離のみならず長距離でも言える事なのでペース配分をして走るマラソンにおいてもドロップダウンが来れば歩くのにも一苦労なほどに体が言う事を効かなくなる。

24時間テレビなどで100kmマラソンやりますけど、武道館に辿り着く頃にはドロップダウンのまま何時間もほぼ歩いて来るんです。良くヤラセだとか視聴率の為に調整してラストにゴールするとかゲスな事を言う人がいますけど、そういう人は大概が運動した事無い人なんですよね。単純に24時間かけて100km歩けば良いとか勝手な事言いますけど、24時間ブッ通しで時速4.17kmを維持しなければいけない。歩くのが速い人でもせいぜい時速5kmほど。それだって2〜3時間くらいでバテますよ。時速5kmで歩けば計算上は20時間で100kmに到達しますから、25km(5時間)歩いて1時間休めばいけるけど長時間の単純運動は筋肉だけじゃなく関節や筋(靭帯など)にも疲労が蓄積してきますからそんな簡単なモンじゃないんです。極限までくると、もう筋肉を通り越して骨が痛くなるしマメも出来てきてマメを潰しながら歩くのは無茶苦茶ツライですよー。だって歩を進める度に痛みが襲ってくるんですから。こうなると痛みに気が向いてしまい脳内麻薬も分泌されないんです。

話は24時間100kmマラソンに変わりますが、普段それ程運動をしない芸能人が100kmを走りきることは並大抵のことではありません。それは基礎体力がどれくらいあるかで話は全く変わってくる。体力が一番成長するピークは高校生くらいの時で、高校時代に部活動をしていたかどうかでその後の運動体力は大きく変わります。例えば社会人になってから、高校時代に運動をしていた人と運動をしてなかった人が同じトレーニングをするとします。しかし筋力は運動をしていた人の方が多くつきます。この差を埋めるのは何倍ものトレーニングを要します。只、生まれついての全身桃色筋肉のような人は例外ですが。

クルマで例えれば(何故?)R32スカイラインのGTSタイプMとGTーRがゼロヨンで勝負するようなモンです。同じ金額のチューニングをしてもGTーRはGTSの倍以上の馬力を上乗せできます。

あきる野市には「秋留台公園」という素晴らしい場所があり、その中心にある競技場は勿論、1周400mトラックになっています。前述した200m・400mのシンドさを実際に体験できますよ。でも、ワタシの同級生連中(40歳)は「50m走で疲れきっちゃう」とか「100mってこんなに長かったっけ?」なんて情けない事言ってるんだよなぁ。
posted by 41 at 15:50| Comment(0) | TrackBack(0) | 休日ぶらり