2012年10月07日

仕事としての飲食業

今日の毎日新聞で興味深い記事があった。

「若者の過労自殺」
記事の中心となっていたのが「ワタミグループ」で働いていた森美菜さん(享年26歳)が膨大な業務とプレッシャーに押し潰され、自殺に追い込まれた事件の概要である。

飲食業というのは、基本的には過酷な労働条件の中で「いつか自分も店を持つ!」という目標があるから、一般労働者の2倍働いていても頑張れる。(2倍働いても給料は一般労働の半分)
実際にボクもそうだったし、料理の世界で1人前になりたい!と思ってる人ならコックでもホールでも志は一緒。

過労自殺が表面化する企業は例外なく全国チェーン展開している企業。
対して、ボクが育ってきた個人店などではまずあり得ない。
その違いは何か?

簡単に言えば「その会社(店)にいて自分にとって得るものがあるか否か」である。
個人店に入る場合は(料理人の場合)その店(会社)の味に惚れ込んで働く(修行)から、全てが得るものである。

だが全国チェーン展開している業態では、自分が仕入れや買い出しに行く事も無く、メニュー作成も開発部門が行い、送られてくる食材や出来合いの料理をほんの少し作業して出すだけ。
こんな程度の調理では(調理というレベルではないが…)自分が何をしているかの目的も分からずに、売上計画や人材育成計画書をPCとにらめっこして業務に追われる日々をすごしたって何一つ身につきはしない。

現在も故・森美菜さんの御両親がワタミグループを相手に裁判で争っていたが、今年2月に労働省が作定した「過労死ライン(月80時間以上の残業)」を遥かに超えていた、月140時間以上の勤務実態が明らかになって逆転認定を勝ち取った。

これに対しテレビにコメンテーター気取りでバンバン出ている渡辺美樹会長の発言が頭にきた。

「労災認定の件、大変残念です。4年前こと昨日のことのように覚えています。彼女の精神的・肉体的負担を仲間皆で減らそうとしていました。労働管理できていなかったとの認識はありません」

注目したいのは文頭の「労災認定の件、大変残念です」という部分。
ようするに納得いかないってことなんだろう。
過酷な労働条件を押し付けている会長の発言としてはあまりに非道い。
この手の企業によくあるのが、休日は週1で設定できても研修や会議などがあることだ。
どんな店でも人が余っている飲食店はまず無い。
会社側からしたら、人を確保し店長が不在でも店を回せるようにするのが店の責任者という言い分だが、そんな店は全国チェーン展開している店ではまずあり得ない。
仕方がないから、研修・会議がある日に自分の休日を入れてシフト作成するしか手段が残されない。

ワタミグループでは読書感想文を提出する課題があるそうで、その課題書が「夢に日付を!(渡辺美樹・著)」
その本の中で「大学を卒業した私は、会社を設立する資金作りの為に1年間、運送会社でドライバーとして働きました。その1年間はまさに地獄。実際、毎日が20時間以上の労働という極めて過酷な状況でした」と記し、2年後に社長になる夢が励みになったと説いていた。

これを読んでみなさんはどう思いますか?
おそらくは佐○急便での激務の事を言ってるんだろうけど、これは自分で仕事量にたいしての報酬が雇い側から保障されていて、尚且つ「会社設立」という夢があるからこなせたんだろう。
でもこんな業務を、長年いたって料理の腕も人脈も作れない仕事環境で激務をこなしている社員に、自分と同じ志を持てとでも言うのだろうか。
だとしたら、大企業の経営者としては失格だ。
自分が経験してきた苦労を従業員に押し付けるなんてのは言語道断も甚だしい。
ワタミグループよりも遥かに大企業のグーグルやアップルなどの社員満足度は100%に近い数字を出している。
数多くある日本の全国チェーン展開している外食産業のひとつでも、グーグルやアップルに近い社員満足度を達成できるのだろうか。
年が明ければ消費税はアップし(消費税だけじゃないけどね)消費はどんどん冷え込むだろう。
冷え込んだ消費は売り上げに直結し、人件費を減らす為に夢も希望も持てない社員の睡眠時間が減っていく。
今回の問題は氷山の一角であり、若者の過労自殺はこれからも増えていくに違いない。
少子高齢化が進んでいく中でも、若者が過労自殺していく環境は変わらずに、この国は年金を貰う年寄りだけの国へとなっていく。

こんな現実が付きつけられてる状況下でも年寄りは相も変わらず「あたしらの時は何にもなかった。いまの若者は何でもあるから幸せだ」と勘違い発言を繰り返すのだろう……。

posted by 41 at 14:26| Comment(0) | TrackBack(0) | 料理あれこれ
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