2013年03月03日

心のバリア・フリー

先日、特別支援学校の生徒さん、いわゆるしょうがいしゃですがウチでインターンを行いました。そこに至った経緯を綴ります。

渋谷で働いていた頃に某特別支援学校からインターンの依頼がきてMちゃんという子がやってきました。Mちゃんは軽度の知能障害ですが、よほど勘の鈍い人でない限りは「しょうがいしゃ」と分かる子です。後にMちゃんは一緒に働く事になります。Mちゃんは教えた事はキチッとしないと気が済まない子であり、サラダの盛り付けなんかだとボクの方がMちゃんに怒られるくらい。大体言われるのは「汚いよキイロマン!」でした(笑)賄いも一緒に食べて時には一緒に電車で帰ったり(付いてくんな!と言われましたけど)

しょうがいを持つ子と共に仕事をしていく中で、いずれ独立したらしょうがいを持つ子達で店を作り上げたいと思うようになり、独立する前からしょうがいしゃを支援する団体などとも相談をし独立に至りました。しょうがいしゃがホールに出るイタリアン……こんな店どこにもないだろうし誰もやらないだろう…じゃあ自分で作る!独立するのは自分の我儘を押し通す為だけど、しょうがいしゃをスタッフとして…それも我儘の一つです。ちなみに開業資金を融資してもらう際に計画書を提出するんですが、そこにもしょうがいしゃを雇用する云々を書いてあります。

いきなりしょうがいしゃを雇っても店の運営がダメなら共倒れになり、職を得たしょうがいしゃにもまた厳しい職探しへ送り出さなければいけなくなります。なので3年くらいかけてじっくりと地盤を作らなければいけない。地盤の中には顧客も含まれます。いくら金を出してくれても、しょうがいしゃを蔑視するゲスな心の持ち主が常連になっても困る。ウチが全く宣伝もせずオープンして、オープンしてからも特に広告をうたないのもそれが大きなウエイトを占めます。寂れた商店街とはいえ駅近の立地で低価格なのですから、若いゴロツキが自分達の縄張り化してタムロされる可能性もあったので外にメニューも出さずに、入るのに勇気がいる店の雰囲気をあえて出しました。それが原因で未だに何屋だか分からないし、ウチから100mも離れていない家の方もウチを知らないという状況なのですが…その甲斐あってかかどうかは分かりませんがウチの常連さんは心の広い人ばかりで感謝につきます。

途中、大震災の影響もあり消費がガクンと冷え込んで当初の計画よりは1年遅れてしまいましたが、去年の初夏に某特別支援学校の学校公開に行きました。そこで進路指導の先生とお話をさせて頂いて「まずはウチで生徒さんのインターンをさせてほしい」と伝えました。月日が過ぎ年を跨いだ1月終わり頃に待ち望んでいたインターン依頼がきました。そして冒頭のインターンを先日行ったのです。

普段のランチは暇な事が多すぎるのでインターンするにも仕事がなきゃ意味がない。ってことである程度お客さんが来るように近隣の方・友人・しょうがいしゃの娘さんをもつお母さん等に事情を説明して協力を仰ぐ事に。あらかじめ料理内容を伝えておき台本通りに料理を注文するといった段取り。

当日昼前にインターンの生徒さんと引率の先生が来店。生徒さんは見た目は今時の女子高生と何ら変わらないが読み書きは苦手。今までのインターン歴だとファミレスやパン屋さんに行った事もあるのだがあくまでも裏方作業。今回の様なお客さんの前に出るというのは初めて、というか学校全体でも初めてだそう。

ところでウチをご利用頂いている方なら気付いている人もいると思いますが、ウチのテーブル(ホールのね)はカラーテーマで区別しています。赤・青・緑の3色だけだけどテーブル上の小物や灰皿などで色を設定している。さらにはソフトドリンクのカップもテーブル色に対応したものを用意している。これはしょうがいしゃが料理などを運ぶ時に「これは青テーブル」「これは赤テーブル」というように簡単に識別できるようにする為。番号よりは色の方が分かりやすいと思ってオープン時からやっているんです。今回は2種のランチプレートを注文してもらうように段取りましたがプレートも3色のプレートを用意してあります。つまり青プレートの料理は青テーブルとすることで自分にも働くしょうがいしゃ(予定)にも負担が無いシステムにしてるんです。少なくとも4年半前のオープン前からこのシステムは考えてありました。

そうしてインターンが終わり生徒さんに「どう?もう一回やってみる?」と訪ねましたが、やはり裏方作業の方がいいみたい。ボクが料理を作っている時はジッと見てたから作る方が好きなんだろうな、こればっかりはしょうがありません。でも人と接する事が大好きなしょうがいしゃもいますし、特別支援学校さんには「これからもインターンさせてほしい」とお願いしました。その中でウチの希望にピッタリな子が現れれば何とかその子を雇用したいし、しょうがいしゃをウチのような業態で雇用する事でしょうがいしゃの子を持つ親御さんも親子揃って外食することができるようになる。それもいいかげんでない、ちゃんとしたイタリア料理を楽しむ事が出来る。今回の子に話を聞くとイタリアンが好きだけど外に食べに行った事が無いんだそう。親御さんもやはり引け目や周囲の目は気になるはずです。そんな悩みもウチなら解決できます。

来店依頼した方の中でしょうがいしゃの子を持つお母さんが2人来てくれました。うち一人は子供と一緒です。今回の子と先生にも賄いという形でウチの料理を食べて頂きましたが生徒さんも子供も「美味しい」と残さず全部食べてくれました。聞けば「普段の給食は半分くらいしか食べないのに」とのこと。健常者に比べれば感情が表に出てこない子達でも素直に「美味しい!」といって食べてくれる。これだけで今回のインターンは成功ですよ。料理で飯を喰うのはどんなにカッコつけたって欲望商売であり水商売なんです。欲望商売でもチッポケでも社会貢献できたかなと思った瞬間でした。

しょうがいしゃが客前にでるのは日本では異例ですが北欧では当たり前だったりします。社会全体がしょうがいしゃを温かく迎えている人間性の表れであり素晴らしい社会です。サービス王国・日本ではしょうがいしゃが料理を運んでくることやレジ打ちすることに嫌悪感を抱く心無い人もいるでしょう。大震災で世界中から称賛を浴びた日本人ではありますがネットの掲示板を見ればしょうがいしゃを蔑視する書き込みも多く吐き気をもよおすほど。なぜコイツらは五体満足・健常で生まれた事を当たり前と思えるんだろう。

自分をとりまく環境でしょうがいしゃと関わる事は意外に多い。それは知人が軽度のしょうがいしゃであったり、しょうがいしゃの子を持つ親御さんと知り合いだったり、親戚にもしょうがいしゃがいるし、Mちゃんと出会ったこともそうだし、常連さんで養護施設のお医者さんがいたり、友人がしょうがいしゃ団体へ寄附するためにノーギャラでチャリティー大会を開いたり、お客さんの娘さんが特別支援学校の先生になるべく国立大に合格したなど……人と人の出会いは運命で決められているってのがボクの持論。前述した人達と出会い再会したのも運命なら、しょうがいしゃと共に店を盛り上げていくのもボクの運命だと実感しています。

今、インターンを行っている生徒さんの誰かしら(現・2年生)を来年の新卒でバイトだけど雇用できるように頑張りたいところですが、ぶっちゃけた話来年の春にウチが廃業している可能性は大です。でも机上の空論や飲みの席でのビッグマウスにならないよう悔いなくやるしかありません。



今回は色んな想いを綴ったのでかなりの長文になっちゃって読む人も疲れてしまったのではないでしょうか。来週は木・日の更新休んでもいいよね(笑)

posted by 41 at 17:00| Comment(0) | TrackBack(0) | ぼやき
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