2013年12月01日

偽装戦士・贋作

一時はニュースを賑わせ沈静化しかけるとまたもや新事件が明るみに出てくる食品偽装。今、この煽りを受けて伊勢海老が市場に出てこないという事態に陥っています。

それを知ったのは1ヶ月くらい前で仕入れ業者に
「41さんとこは伊勢海老使います?」
「使いたくても使えないよ、そんな高級食材」
「良かったぁ、実は色んなとこから伊勢海老を何とかしてくれって頼まれてるんですけど、市場に無いから手の打ちようが無いんですよ」

なぜ市場に無いのか……
それは年末商戦の風物詩と化して、年始の福袋と双璧をなす「おせち」の為です。高額なおせちには縁起物として伊勢海老が欠かせません。伊勢海老の縁起物としての由来を調べてみると……

・曲がった腰と長いヒゲという見た目から
 長寿の象徴として。
・脱皮を繰り返す事から、
 成長と新しく生まれ変わるという験担ぎ。
・鎧のような姿形から勇ましさの象徴。
・真っ赤な姿。
(日本では赤と白はおめでたい色とされている為)
・力強さと生命力から威勢が良くて華やか。
(お正月に華やかで威勢の良い年を願う。)


など多くの理由からお祝い事には欠かせない物となっていったようです。

さて、毎年おせちに組み込まれている伊勢海老がなぜ市場に無いのか……それは昨今の飲食業界では慣例ともいえる偽装(表示含む)が明るみに出てきたからで、伊勢海老の漁獲量は決して多いものではありません。ある漁師さんは「伊勢海老って唄ってるものが全部、国産なら伊勢海老は絶滅してらぁ」と漏らしていたとか。

では、おせちなどでこんもりと盛られている伊勢海老は何なのか!正体は「伊勢海老」ではなく「イセエビ」
なんのこっちゃ分かりませんよね?イセエビというのは世界中至る所(海)に生息しているもので、生息地がオーストラリアならオーストラリア・イセエビという学名なのです。味はやはり国産には劣りますが見た目はほぼ一緒で(腹に斑点があるとか細かい違い)安価ですから伊勢海老の偽装に暗躍してたわけです。

我々、飲食に携わる人間からすれば偽装しているものは店のランクと価格などを踏まえて、本物か偽装かなんて簡単に分かるんですけど、同業ですから「偽装だろ!」と声を荒げることはありません。しかし「おせち」販売というのは飲食店で食事するのとは違い、カタログを見て事前に注文するので現物を見るのは31日(前後)であり、カタログに「伊勢海老」と謳っているなら「イセエビ」ではなく「伊勢海老」を入れないと偽装になります。おせち商戦は11月半ばから始まりますからメニュー決め・商品撮影などは10月中に終えないと間に合いません。ほとんどの業者が「イセエビ」を「伊勢海老」と偽装して「さぁ売るぞ!」って時に最悪のタイミングで発覚してくる偽装の嵐。しかし、ここでイセエビで見積もっている原価を基に表示した売値は変えることはできません。高値にすれば「あそこは偽装だったんだな」と消費者に悟られるし、偽装発覚となれば返金はもとより会社としての評価はガタ落ちになり下手すりゃ倒産なんてのも大いにありえます。なので、儲けが無くなっても来年もおせち商戦に食い込む為に「伊勢海老」で販売するしか道は残されていない。

よそ様なんかより「オマエんとこはどうなんだ?」と言われてもウチは大丈夫と胸を張って言えます。ウチはメニューに〜〜産とか唄いません。だって、常にその食材が手に入る保証なんてどこにもないんだから。そりゃぁイタリアンサラダだって「自家農園野菜と長野県・川上村のレタスで作ったイタリアンサラダ」なんてメニュー名なら字だけでグッとくるでしょう。ウチは一応、自家農園で野菜を作っていますが畳4畳ほどの市民農園を借りているだけだし、ビニールハウスでもないから霜が降れば葉物野菜は育ちません。常に自家栽培野菜を提供出来る自信がないから只単に「イタリアンサラダ」としています。

これからも偽装表示の件はちょこちょこ出てくるでしょうし、来年4月から消費税も上がりますから今まで偽装メニューで稼いでいた全国チェーン系列は厳しい運営となるでしょう。でもね、そもそも嘘つくのがいけないんだから自業自得とも言えますけどね。ちなみにウチは嘘はついてないけど厳しい経営が続いてますけど(泣)






posted by 41 at 14:03| Comment(0) | TrackBack(0) | 料理あれこれ
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