2013年12月26日

和食材と洋酒の相性

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画像のスパゲッティは「数の子のアーリオ・オーリオ」
和の食材をイタリアン!をスローガンとして色々とメニューを作っていますが正月の縁起物として欠かせない「数の子」でスパゲッティを作ってみました。
イタリアンでもメニューには意外とある「カラスミのスパゲッティ」のカラスミを数の子に替えただけのものですが中々に美味いスパゲッティでした。フォークでくるくる食べると言うよりは箸でズルズル食べる方が美味しい感じがします。
数の子はかなりの濃度で塩漬けされてますから調理する前に水抜きが基本。ですがこの塩っ気をあえて調味料として生かす為にそのまま使ってみました。フードプロセッサーで粉微塵にしたものを少〜し炒めただけですが、数の子が持っている元々の旨味が油に溶け込んでパスタに絡みつくのですからマズイはずがありません。注意点はパスタと数の子の分量をバランスよくしないと薄過ぎたりしょっぱ過ぎたりと、調理法は簡単だけど分量で気を使うスパゲッティなのです。

ワタシは酒をそれほど飲まないのですがお客さんは酒と合わせて食するわけですからワインとの相性をチェック。すると、白・ロゼ・赤と全てに絶望的なほど合わない…
生牡蠣とシャンパンを合わせた時くらいに最悪(フランス人は好むから不思議だ)で、数の子を単体で食べた時には出ない生臭さがワインと合わせると口中を覆ってくる。正直、吐きそうになった……
絶望度は白が軽く赤が最悪でロゼは中間。こうなると、コースのパスタにはとても使えない(美味しいのに…)供にする酒をパスタの時だけ日本酒に変えるか、酒を全く飲まない人でないとコースに組み込めない。

日本でもワインブームが起きて(今は沈静化してきてる)どんなジャンルの店でもワインやシャンパンが置かれるようになったけどお寿司屋さんでワインはトンデモない組み合わせなんだけど、みんなこぞって飲んでるよなぁ…自分の方が味覚がおかしいのかな?と思うくらいに。

ワインとは最悪な相性だった数の子スパだけど、これはヨーロッパのワインだからじゃないかと考えてみたので、今度は勝沼などの国産ワインで試してみることにします。
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2013年12月05日

小ネタ諸々

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特製オリーブ(800円)仕込みました〜♫いつもよりは多めに造りましたが年内はこれで仕込み収めになるかもしれません。販売分は15本ですが5本は行き先が決まっているので残りは10本。取り置きできますから早めにメッセ下さ〜い。反響次第では年末にまた仕込むかもしれません。

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こだわり農家・Wさんの八つ頭が入ってきました。毎度好評な八つ頭ですが今年は数が期待できないとのことで、常にあるかは保証できませんので悪しからず。


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産業祭でも出品した
人気メニューの「豚バラ肉のトマトソース煮込み」

それのリメイク版「豚バラ肉の白ワイン煮込み・3種ペッパー風味」
トマト煮込み状態の豚バラをお湯で洗い白ワイン・3種ペッパー・ニンニク・ハラペーニョ・各種ハーブで煮込みます。豚バラが在庫していればこちらはいつでも出せます。


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「風邪が治んねぇ。これから年始まで休めねえってのに!」とボヤく友人(♂独身)の為に、裏中の裏メニューを作りました。
「チキンのガーリックバター丼」

これは修行時代に賄いでよく食べていたのをアレンジしたもの。ご飯に乗っかっているのはウチのメニュー料理ですが、ご飯は洋風ソースと相性を良くする為にオリーブ油・ニンニク・パセリで炒めたガーリック・ライス。そのGライスにミモザ卵を混ぜてピラフ風に。GバターソースをGライスにかけてオーブン焼チキンをのせる。ガツガツ食べたくなる、洋風な丼です。

アップはしましたが、言われても作りません。だって普段は米無いからね(サ〇ウのご飯をもらった)

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2013年12月01日

偽装戦士・贋作

一時はニュースを賑わせ沈静化しかけるとまたもや新事件が明るみに出てくる食品偽装。今、この煽りを受けて伊勢海老が市場に出てこないという事態に陥っています。

それを知ったのは1ヶ月くらい前で仕入れ業者に
「41さんとこは伊勢海老使います?」
「使いたくても使えないよ、そんな高級食材」
「良かったぁ、実は色んなとこから伊勢海老を何とかしてくれって頼まれてるんですけど、市場に無いから手の打ちようが無いんですよ」

なぜ市場に無いのか……
それは年末商戦の風物詩と化して、年始の福袋と双璧をなす「おせち」の為です。高額なおせちには縁起物として伊勢海老が欠かせません。伊勢海老の縁起物としての由来を調べてみると……

・曲がった腰と長いヒゲという見た目から
 長寿の象徴として。
・脱皮を繰り返す事から、
 成長と新しく生まれ変わるという験担ぎ。
・鎧のような姿形から勇ましさの象徴。
・真っ赤な姿。
(日本では赤と白はおめでたい色とされている為)
・力強さと生命力から威勢が良くて華やか。
(お正月に華やかで威勢の良い年を願う。)


など多くの理由からお祝い事には欠かせない物となっていったようです。

さて、毎年おせちに組み込まれている伊勢海老がなぜ市場に無いのか……それは昨今の飲食業界では慣例ともいえる偽装(表示含む)が明るみに出てきたからで、伊勢海老の漁獲量は決して多いものではありません。ある漁師さんは「伊勢海老って唄ってるものが全部、国産なら伊勢海老は絶滅してらぁ」と漏らしていたとか。

では、おせちなどでこんもりと盛られている伊勢海老は何なのか!正体は「伊勢海老」ではなく「イセエビ」
なんのこっちゃ分かりませんよね?イセエビというのは世界中至る所(海)に生息しているもので、生息地がオーストラリアならオーストラリア・イセエビという学名なのです。味はやはり国産には劣りますが見た目はほぼ一緒で(腹に斑点があるとか細かい違い)安価ですから伊勢海老の偽装に暗躍してたわけです。

我々、飲食に携わる人間からすれば偽装しているものは店のランクと価格などを踏まえて、本物か偽装かなんて簡単に分かるんですけど、同業ですから「偽装だろ!」と声を荒げることはありません。しかし「おせち」販売というのは飲食店で食事するのとは違い、カタログを見て事前に注文するので現物を見るのは31日(前後)であり、カタログに「伊勢海老」と謳っているなら「イセエビ」ではなく「伊勢海老」を入れないと偽装になります。おせち商戦は11月半ばから始まりますからメニュー決め・商品撮影などは10月中に終えないと間に合いません。ほとんどの業者が「イセエビ」を「伊勢海老」と偽装して「さぁ売るぞ!」って時に最悪のタイミングで発覚してくる偽装の嵐。しかし、ここでイセエビで見積もっている原価を基に表示した売値は変えることはできません。高値にすれば「あそこは偽装だったんだな」と消費者に悟られるし、偽装発覚となれば返金はもとより会社としての評価はガタ落ちになり下手すりゃ倒産なんてのも大いにありえます。なので、儲けが無くなっても来年もおせち商戦に食い込む為に「伊勢海老」で販売するしか道は残されていない。

よそ様なんかより「オマエんとこはどうなんだ?」と言われてもウチは大丈夫と胸を張って言えます。ウチはメニューに〜〜産とか唄いません。だって、常にその食材が手に入る保証なんてどこにもないんだから。そりゃぁイタリアンサラダだって「自家農園野菜と長野県・川上村のレタスで作ったイタリアンサラダ」なんてメニュー名なら字だけでグッとくるでしょう。ウチは一応、自家農園で野菜を作っていますが畳4畳ほどの市民農園を借りているだけだし、ビニールハウスでもないから霜が降れば葉物野菜は育ちません。常に自家栽培野菜を提供出来る自信がないから只単に「イタリアンサラダ」としています。

これからも偽装表示の件はちょこちょこ出てくるでしょうし、来年4月から消費税も上がりますから今まで偽装メニューで稼いでいた全国チェーン系列は厳しい運営となるでしょう。でもね、そもそも嘘つくのがいけないんだから自業自得とも言えますけどね。ちなみにウチは嘘はついてないけど厳しい経営が続いてますけど(泣)






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2013年11月21日

沈静化の兆し?

綴っている11月21日はボジョレーの解禁日です。
以前のブログにボジョレーでバカ騒ぎする愚かな人々を綴りましたが
http://quarantuno.sblo.jp/article/41713623.html
去年、そして今年とそれほど騒がれなくなった気がします。
ワタシの訴えがようやく届いたのか(?)それともネットで簡単に情報が入る情報化社会故に、自分達の過ちに気付いたのかは分かりませんが、非常に良い傾向だと思います。

ちゃんとした店であればボジョレーは出さないし需要はどんどん減っていくはずとは思うんですが、酒屋さんのノルマは上がり続けているそうです。
結局、ブームを仕掛けた企業なり団体なりが自分達の作戦を否定されたくないから無理やりにでも売りつけてブームを消えないように仕立ててるんじゃないでしょうか。

最近はメーカーが様々な新商品を猛プッシュして売れなきゃサッと見切りをつける。この連鎖がここ何年かつづいたのもあってボジョレーも「そろそろ終わりだろう」みたいな空気になってるんじゃないですかね。昨年よりは営業がかかってないようです。

しかし、日付が変わっても営業する飲食店(飲み屋)にとっては売上アップの良いツールなのではないでしょうか。解禁日の日付が時間では無く日で決まっているから20日の夜0時過ぎに提供出来る。すると、カウントダウンよろしく「ボジョレー解禁だから店来てよ」と実に巧妙な呼び込みが出来るのです。そして解禁日は大体が平日だったりするので少ない平日売り上げをカバーできるんですね。

以前に告知しましたが当店は来年からディナー営業のみ(火〜土)となります。来年の解禁日は金曜日なので木曜の深夜に解禁で「解禁に合わせて行くから入れといて」ということもあり得るんです。別にウチは拒否はしないけど「入れといて」と言ったにも関わらず来ないのが困る。ボジョレーが売れるのは解禁日から週末にかけてで週をまたいだらまず売れません。料理用に消化するにはボジョレーは高いのでホントに売れる本数だけ仕入れたいんです。
というか来年の解禁日までウチが存在してるのか分かりませんが……
消費税も来春から上がるので「一寸先は闇」とまではいきませんが「2カ月先は闇」くらいの感覚です。
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2013年08月22日

裏メニュー小ネタ祭り

手軽にアップ出来るのでついついfacebookに裏メニューネタが偏ってしまいます。
今回は小ネタ集ということでアップします。
しかしあくまでも裏メニューなので、いつでも出来るものではありませんのでご了承ください。
(事前に連絡頂ければ出来る限り御用意します)

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常連さんの持ち込み食材でお作りしました「あさぐりのタルタル焼き」
誤植ではなく、アサリとハマグリの中間というふれ込みなのですが名前を忘れたそうで勝手にネーミングしました(笑)
茹でて開いたアサグリに自家製(即興ともいう)タルタルをのせてパン粉・パルミジャーノをたっぷりかけて石窯で焼き出来あがり。ビールが進む一品です♫



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今日は通常よりもリッチなコースなのでリゾットを作りました。
2種類の燻製チーズたっぷりの「リゾット・パルミジャーノ・スペチアーレ」
写真の腕がヘボで美味しそうに見えないんですが……



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先日のコース・メイン「サルティンボッカ」
本来はサーロインを生ハムで包み4種の酒をベースにしたソースで召し上がる中々に贅沢なメニュー。
今回は特選品の「ミルク仔牛ロース」(鶏ササミのような食感)で作りました。
サルティンボッカとはイタリア語で「飛び込んでくる」の意。
美味しくてどんどん口の中に飛び込んでくるということ。
似た言葉でイリュージョンの「サルティンバンコ」がありますがこちらは「飛び跳ねる」の意。



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女子は大好き「アボガド」
あきる野109でアボガドがディスプレイされていたので「たまには作るか」と何となく即興で作ってみました。
アボガドは大体がサラダ風に作るんですがコチラはスパイシーなソースと合わせて酒が進む味付けにしてみました。
思い付きで作った割には美味しかったので裏メニュー入り確定(裏ばっかだね)
アボガドに巻きつけた大葉が味のアクセントです♫



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ズッキーニをオリーブ油漬けにしました。
ただオリーブ油漬けにするのではなくズッキーニは塩を振り石窯で空焼きをしてからニンニク・ローズマリー・トマトで香り付けしたオリーブ油で少しだけ炒めます。
その後、蓋をして味を染み込ませ出来あがり。ツマミに最高です♫



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食中毒が怖いので生肉・生魚系はメニューにしないポリシーなのですがたまには…とブリでカルパッチョ風なものを作ってみました。(自分の賄いですけどね)
当店特製のオリーブをみじん切りにしてブリにのせてニンニクとパセリで香り付けしたEXオリーブ油をかけて出来あがり。
この手の調理法はマグロにはイマイチ合わずブリやハマチなどの白身系のこってりしたネタに合います。


こんな感じの小ネタをfacebookではリアルタイムでアップしているんですが「クアラントゥーノ」FBページに「いいね!」を付けた方、もしくは友人が「いいね!」を付けた方しか見れません。
お堅い仕事の方はFBに登録しているが社内コミュニケーションツールとして使っている、そして職業上プライバシーに厳重に配慮しなければいけない方が当店のお客様でもいらっしゃいます。(公務員さんなど)
そういう方はFBの検索ワードで「クアラントゥーノ」を打ちこんで下さい。
公開は自由にしてますから閲覧するだけならいくらでも出来ますので。
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2013年07月25日

食中毒から身(胃)を守る

相変わらず暑い日々が続いております(最近はこんな書き出しばっか)子供達も夏休みに突入し、休日はバーベキューなんて過ごし方も多くなるでしょう。ですが毎年のようにバーベキューやお弁当で食中毒を起こすのも後を絶ちません。あれだけテレビ等でも騒いでいるのにです。それは当事者達の食材に対する認識が甘いから起こるのです。

まず弁当で起きる食中毒は殆どが熱抜きをしていないからでしょう。弁当箱は多少傾いてもこぼれない様にパッキン付きの蓋で閉められていますね。これが一番危ない。汁がこぼれないほどの密封状態ということは熱を逃がさない。これをアツアツで作りたての食材を弁当箱という極めて限られたスペースでピーク時満員電車のようにギュウギュウに詰めれば余計に熱がこもりますね。
お弁当には色んな食材が入りますから色々と作らなければいけない。万全の対策をするなら一つ一つの品目を大きめな皿に拡げてウチワ等で粗熱を逃がしそれから弁当箱に盛り付ける。そして盛り付けてすぐには蓋を締めず涼しい所(比較的)に蓋を8割くらい被せる。四角い弁当箱なら定位置から30℃ほどずらす感じで。
まぁ結局は時間に余裕がないと出来ない芸当なので朝方に大忙しの主婦の方には酷な要求です。なので朝にバタバタ作るよりは全日晩におかずだけ作っとくのが理想なんですがね。
それと生野菜は極力入れない事。食事のバランスを考えると野菜を入れたいのは当然ですが生野菜を中途半端な温度で入れとくのは非常に危険です。野菜を入れるのであればブロッコリー・ジャガイモ・ネギ等の温野菜を入れるのがベター(もちろん冷ました状態で)
弁当箱をいれる袋も危ないんですよね。袋といういい方はおかしいけど弁当は裸で持ち歩きませんよね。大概はバッグやリュックサックなどに入れていきますがバッグ類の中も結構温度が上がります。弁当箱を包む布類に保冷剤(ゲルタイプ)を入れると安心。
これだけ五月蠅く言うと弁当箱の理想は籐でできた箱になりますね。風通しもいいし一昔前のラブコメ漫画の様にサンドイッチやおにぎりを密封しない程度に紙類で包むのがベスト。昔の人はおにぎりを竹の皮で包み持ち歩いてましたが、理に適った保存法です。まぁ当時の人達はそんなこと知る由もなかったんでしょうけど。

BBQにも弁当と同じ事が言えますが、やはり持ち運びをしている間が非常に危ないのです。BBQは現地で焼くから食材管理にルーズな感じがします。当たる危険があるのはやはり肉です。肉を買う時はパック詰めになっているものは避ける。
なぜならBBQは大概、車で現地に向かいますから現地で鉄板などを設置している時間に肉は車内もしくは外に置く事になります。するとパック詰めになった容器は容器内温度が上がり肉がイカれる原因になります。
なので外に置く時はクーラーボックスに入れるか日陰に置くか、車内に置くならエアコンを効かせた状態の車内に置くかを考えないといけない。荒業で密封パック状態容器をビニール袋に入れて川につけとく方法もありますがあくまでも川がないとダメなので。
肉も出来れば紙類で包んでくれる店で買うのがベスト。よくよく考えると大型スーパーがない時代は街のお肉屋さんで肉を買ってましたけどほぼ紙包みでしたね。
そして肉はよく焼く事。どうしても酒が進んで目の前にジュウジュウ焼けている肉があると我慢できずにミディアムレアくらいで食べちゃいますけど前述したような肉の保存でないと肉がイカれかけていて、そんなものを半焼きで食えばそりゃぁ当たる確率大です。BBQの最高の調味料、それは自然の中で気の知れた仲間と食を楽しむ、これに尽きます。肉をガチガチまで焼いたって仲間と楽しく食べることが重要です。万が一食当たりしたら場の空気は最悪ですからね。

料理を提供する側の意見だと(個人的)夏ほどBBQにそぐわない季節もありませんよ。熱中症・脱水症状・食中毒と危険と隣り合わせみたいなものです。ボクは冬が一番と思うんですけどね。寒いから食材はイカれにくいし虫もそれ程飛んでないしクマは冬眠中だし(予想)寒くたってBBQの火で暖がとれますから。

まぁワタシは家族も嫁さん(彼女)もいない平日休みの身ですからBBQやピクニックにお呼ばれすることもありませんので、一人でも真夏のBBQ・ピクニックでの食中毒被害者をなくすべくダラダラ綴った次第であります。
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2013年06月02日

食の分配

最近、親子が餓死するという痛ましい事件が起きました。

餓死……
昔、ちょっと話題になった「完全自殺マニュアル」でも、最も辛い自殺方法と綴られていました。

読んで字の如く餓えて死ぬわけですが、先進国で日常生活を送っていて食物が何十日も胃袋に入れられない状況なんてのはまず考えられません。
ですが現実に餓死事件が起きてしまっている……。

このような事件が報道されている傍らでボクは商品価値の無くなった食材商品を廃棄してしまっている。
そうすると自分の職業を後ろめたく感じてしまう。

我々のような飲食業界において食材ロス率がゼロなんてのは不可能に近い。
在庫をストックしなければ売り切れてお客さんから失望され、メニュー数が少ないと選ぶ楽しさが欲しいとせがまれ数多くラインナップすれば出るもの出ないもののメニュー内格差が生じ、色々な事情から廃棄食材は益々増えていく。

飲食業界で最も廃棄率が高いのはバイキング・ビュッフェであり、廃棄率50%なんてのもザラ。
この手のスタイルはとにかく品数を揃える事が第一であり最低でも40品目は揃えなければならない。そして個別包装されてるわけでもなく大皿で置いておける状態は60分ほどだろうか。会社毎に時間設定はマチマチだけど設定時間が過ぎたものは新品に替えられる。古いものは当然、廃棄される。(せいぜい従業員の食事くらい)

この負の連鎖を断ち切る方法は一つだけ。
全ての飲食店が専門店になること。
例えばイタリア料理の中でもパスタ専門店・ピッツァ専門店といったように。
ではそのスタイルで利益を出し続ける店は作れるのか?
答えはノー。
中には一品勝負なとこもあるけど余程のものでない限り、そして人に溢れた街でない限り無理だろう。
牛丼一本の吉野家だって危ういくらいの飲食業界なのだから。

なんか今回は落とし所が上手く見つからない。
何ら解決策も見いだせないし、自分も廃棄する側の一人なので。
そしてまた今日も明日も明後日も繰り返す。
もはや日常業務と化した「もったいない廃棄」を……



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2013年04月21日

ノラ・ボーンズ

あきる野では数少ない名産品で「のら坊」というものがあります。知らない人の為にザックリと説明すると、菜の花の仲間みたいな感じで実際に味も菜の花に近いのです。んで、調理法としては菜の花と同じ調理法が適応できるんですが、作り手側の意見としては正直なところ菜の花ほど美味しくなりません。

菜の花との決定的な違いは茎の堅さでしょうか。なので、おひたしにしようと茹でると菜の花だと少し茹でるだけでいいものがかなり時間をかけて茹でる事になります。すると葉はグチャグチャになってしまう。なのでのら坊にはのら坊のアプローチで料理を考えないといけません。そんな事を踏まえてイタリア風に作ってみたものをご紹介。

まずは葉の柔らかさと茎の硬さから、別々に茹でるようにしないといけません。なので葉と茎を別々に分けていきます。


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茹でる時は塩を入れて。海水よりやや薄いくらいの強めの塩濃度にします。茎は硬いので長めに茹でる。食べてみて「ちと柔らかいかな?」と思うくらいのとこで湯から取り出し、氷水で瞬間に冷やします。冷やす時もただ氷水に入れるだけでなくかき混ぜて短時間で冷やします。長い時間水につけると断面から旨味が水に逃げてしまうからです。
葉は生でも食べれるし(苦いけど)柔らかいので大きめのザルに熱湯をかけるくらいのもんで大丈夫。ホウレン草のようにギュッと絞りたくなりますが、うちわ等で風を吹かせて冷やします。できれば画像の様なサラダ・スピンナーで熱を逃がしたいです。サラダ・スピンナーはサラダだけでなく水きりの万能道具です。持っといて損はありません。

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茎と葉を冷やしたらまずは大きめのボウルに茎を入れる。そこに唐辛子とニンニクで香りだししたサラダ油を熱い状態のままかける。それを混ぜ合わせた後に葉を入れて同様に混ぜていく。この状態のままでも「のら坊のニンニク風味サラダ」的に美味しいのですが、それだけでイタリア風というには説得力に欠けます。そこでバジルペーストを混ぜ合わせます。ここまでの段階で一度も塩などの調味料で味付けをしなかったのは、ここで濃い味のペーストを混ぜるから。

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画像全てが緑色で違いがあんまり出ませんが(カメラテクが無い…)これで完成。前菜で食べる場合は出す直前にパルメザンチーズ(粉チーズ)とオリーブ油(できればEXバージン)をかけて。酒のおつまみとしても良し。ピッツァにたんまりとのせて(トマトソースなどはかけず)焼きあげれば「ピッツァ・ノラヴォーゼ」の出来あがり。これは去年、常連さんに裏メニューで出したところ非常〜〜に喜んで頂けました。「B級グルメに出せんじゃん」なんて言われもしましたが……。
一応、裏メニュー扱いですので常に出せる訳ではないことをご承知くださいませ。

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2013年02月14日

下仁田ネギのスパゲッティ

冬の寒さも峠を越して春へのカウントダウンが始まりスーパーなどでは菜の花も見かけるようになりました。そんな時期に忘れちゃいけないのが「下仁田ネギ」

この前承ったパーティコースのパスタで出したものを、簡単な文章(と画像)でご紹介します。

約2人前(よく食べる男性なら1人前)の分量で説明していきますので。

下仁田ネギは大体が2本1パックで販売していますが、できれば2パック(4本)は欲しい所。材料費はかかりますが下仁田ネギ自体が高級(?)なネギでございますから、贅沢品を買う感覚で臨みましょう。それでも最近の葉物野菜高騰化を考えれば、それほど贅沢なものではありません。まだまだレタスも200円以上はしますからね。

画像は事情により(メンドくさいとも言う)2本分しかありませんが2倍の量で考えて下さい。
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まずは↑のように下仁田ネギを3つのパーツに分けます。身の部分・葉の部分・その中間。


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葉の部分をサラダ油と弱火でじっくりと香出しをします。強火でやるとコゲやすくコゲた臭いが油に出てしまいますので必ず弱火で。ある程度、葉がキツネ色になってきたら取りだします。この時に注意してほしいのがトングなどでギュッと絞った後に葉を捨てて下さい。割と葉に油が付着してますから折角のネギ油を捨てる事になりますからね。

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次に真ん中の部分を適当に切ります。実は下仁田ネギの一番大事な部分はココ!といっても過言ではありません。普通のネギと違って中身はスポンジみたいのが詰まってるんですが、これが美味しい。火を入れるととろみが出てきて下仁田ネギのソースを構成する重要部分であるのです。

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カットした真ん中部分とトマトの柵切りを強めに塩を振りフライパンで炒めます。この際にニンニク2カケをスライスして一緒に炒めましょう。しばらくするとネギのスポンジ部分は溶けてトマトも肉が崩れ液状化してきます。

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液状化したものをフードプロセッサーでペースト状にします。フープロが無い場合はマッシャー(ジャガイモつぶし)でつぶしたりホイッパーでかき混ぜましょう。

ここまで準備ができたらスパゲッティ(他の麺状パスタでも可)を茹でる。茹であがるまでの時間で下仁田ネギの本体を1cmくらいの斜め切りにして、フライパンで先程のペーストと共に温めます。下仁田ネギは生のままでも甘味があるのでちょっとしんなりしてきた時点で火を止める。あとはフライパンに蓋をして余熱で熱を入れます。こうして出来あがったのがコチラ↓
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下準備さえ終えれば後は混ぜるだけの簡単パスタ、それでいて下仁田ネギの美味しさを100%堪能できます。ネギ嫌いな子供もネギ嫌いを克服させるのにピッタリのこのスパゲッティ。是非みなさんもお家で試してみて下さい。自信が無い方は下仁田ネギを持ち込んでくれれば裏メニューでお作りしますよ。



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2013年02月07日

モチモチの実

先日、母校である秋留台高校の餅つき大会に参加してきました。実は38年生きてきて(もうすぐ39年)餅つきは初めてだったりします。皆さんもご想像通りに杵と臼でペッタンペッタンするわけですが、職業柄「いかに早く仕上げるか」「美味しくするにはどんなつき方がいいのか」など考えながらやってしまうのです。

初モチツキながらも突きたてのモチは美味しくて、多少米が潰れずザラザラとした感じがあるのもそれはそれで美味しい。

ですが餅つきでは体力の関係もあるから人手もいるし杵と臼も用意しなければいけません。では杵も臼もない場合はどうすれば美味しい餅がつくれるのか考えてみました。

基本は何万粒もあるもち米を潰して一つの塊にすればいいのですから高速でピストン運動するものを代用すればいいでしょう。道路工事とかで使われている地ならしするヤツ(名前わからん)でダダダダダっとやればいい餅ができるのでは。

車のエンジンなんかもいいんじゃないですかね。ピストン運動の名の如くピストンが備わりクランクの回転によってピストン運動するんですからね。これをクランクとピストン(コンロッド等も含む)だけの状態にして作動させれば幾つかのピストンが周期的に餅を叩きますからより美味しい餅が出来る気がします。直6を並行に2列にして細長いもちを叩くようにセッティングすれば大量生産も期待できます。

今までの2つは冗談として(実際はこんな感じの餅生産機があるはず)なんの道具も無い場合は人力ですよね。最初はフライパンや鍋とかの底が平らなものでパンパン叩いてもち米が崩れ切って一つの塊になりかけてきたら油か粉をまぶしたビニールをかぶせて足で踏みならす。うどんを作るのと一緒です。ちいさなお子様にダンダンと跳ねてもらえればお子様も楽しめて美味しい餅も食べれるという、主婦にはうれしい方法かも。

他には餅を壁もしくは机などにおもっきし叩きつける。ストレス解消にはもってこいです。「あのハゲ部長!」「色ボケババァ」など憎悪の対象人物を叫びながら叩きつけた餅はさぞかし美味しい事でしょう。叩きつけるのも只単に叩きつけるのではなく脚立や階上から落差と重力を加えてやればより大きな負荷をかけれますね。これは100万パワーのウォーズマンが1000万パワー・ベアクローを敢行したのと同じ理屈(?)野球ボールと同量くらいの餅を星飛雄馬に壁へ投げさせれば一投で一人前の美味しい餅ができるでしょう。

餅に重量級スポーツ選手がボディプレスをかますのもいいですね。相撲取りや150kg超えのプロレスラーがヒッププレスなんてした日にゃとてつもないコシの餅ができることでしょう。同じプロスポーツ選手括りならボクサーがジャブを連打するのもいいけど、スタミナの問題がありますから現実的ではありませんね(そもそも重量級がヒッププレスすることが非現実的ですが)

そんなことを妄想しながら一心不乱…いや、数心乱乱に突いた餅はたいそう美味でございました。
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2013年02月03日

反アンチ・エイジング

アラフォー・アラフィフ美魔女なんてのがブームでございますね。
確かにいつまでも若々しくというのは理想ではありますが、男は基本的に若い女を求めるものです。
ワタクシと同年代(アラフォー)の男なら、アラフォー女子と社会人デビュー平成生まれ女子に同時に「付き合って!」と言われりゃ、9割以上の男は若い娘を選びます。そこでアラフォーを選ぶのは変態といっても過言ではありません。

では全ての物が若くてピチピチならいいのかと言うとそうではありません。
クルマなんかはいい例ではないでしょうか。最新型が良いとは思えませんし、クラシックカーオーナーは普通のクルマの何倍もの金を費やして維持しています。

では牛肉の場合はどうでしょうか?↓の画像を見て下さい。



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こちらの肉は仕入れて3週間ほど経ったブロック肉500gでキレイな色とドス黒い色が確認できるかと。

牛肉(ステーキ用)というのはエイジング(熟成)をしたものの方が美味しくなります。ドス黒い部分は腐っているわけではありませんが金をとれる状態でないのは一目瞭然。
この正反対の色の肉は元は一つの塊で表面を削いだことでキレイな部分が出てきます。何故こんなことをするかというとエイジングをかける為です。
このブロック肉は表面を捨てる前提でエイジングをかける。そうすると確かに表面部分は使えないので廃棄することになりますが、中央部分はアミノ酸が分解されて肉の味がアップするんですね。
味がアップするといっても分かんないでしょうけど、なんて言うんですかね、肉がミルキーになるってのが表現として正しいかな?

ではエイジングてのはどうやってやるの?
一番簡単なのはブロック肉を肉面が露出しないようペーパータオル等で包みラップで何重にも巻く。この状態で冷蔵庫に入れとくだけ。たまにペーパーを代えてやり食べたい時にドス黒部を削げば熟成バッチリのミルキー肉の出来上がり。

エイジングには幾つか方法がありますがステーキ専門店などはドライ・エイジングをしていますね。ドライ・エイジングは肉を冷蔵庫内の空気に触れさせて熟成させる方法。
寿司屋さんのネタケース(カウンターに置いてある冷蔵庫)のようにエイジング専門の冷蔵庫なんてのもあったりします。

前述したようにエイジングをかけると廃棄部分が出てくるので廃棄部分も総量に入れた原価で算出しますから高値になってしまうんですね。写真の500gブロックだと削いだ部分は200gくらいあって仕入れ値は500g1250円のモノ。ここから300gを算出すれば原価は750円なんですけど実際はエイジングをかけて500g使っているから300gでも原価は1250円。これを一般的なメニュー原価率である30%に充てると店でのメニュー売価は約4170円となります。エイジングをかけなければ廃棄部分はないから750円の原価で2500円のメニュー売価になるわけですね。同じ300gでも1670円の差がでてしまいますが、その上乗せ分は単純に「美味」の価格であります。

今回は500gでエイジングをかけたが為に4割失う事になりましたが1kgでも2kgのブロックでもエイジングをかけて廃棄する部分量はそんなに増えません。例えばホームパーティでドカンとステーキを出したい時などは1ヶ月前にブロック肉を2kg仕入れといてパーティ当日に200gとはいかないけど300gくらい削ぎ落して提供すれば廃棄率は15%だし、エイジング肉は旨味が増していますから塩コショウだけで美味しく頂けます。
○○牛とかブランドに拘る必要も無いから、コスパはかなりいいんじゃないですかね。
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2013年01月13日

鉄(アイアン)

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昨年冬の番組改編期に「アイアンシェフ」が金曜ゴールデンに組まれました。
これはかつての「料理の鉄人」のオマージュであり、内容もさほどかわりはありません。
ですが、即興で編み出す料理のアイディアだったり作業の素早さなどは非常に勉強になります。

実は「料理の鉄人」時代は全く見てませんでした。
その頃はボクも料理業界に飛び込んだばかり(勿論、専門学校なんか行ってない)
先輩達からは「オマエも見て勉強しろ!」と言われていたもんです。

なのに全く見なかったのは見ても理解できなかったから。
なんせ鍋も振る事なくひたすら皿洗いと仕込みに忙殺される毎日でしたから料理自体を作っていなかった。
料理を作ってもいないのに鉄人レベルの料理を見たところで何の実感も湧きません。
「あぁ美味しそうだなぁ」と思う程度。

当時は「鉄人」放送後の翌日は先輩達の会話は鉄人ネタに終始する。
「オレならああしてこうして」
「あの内容なら昨日は鉄人の負けだよ」
なんて会話に華をさかせていたのに、当時は聞く耳もたなかった。
だって分かんないんだもん。

バイクも乗った事無くクルマの知識も皆無な人間に
「F20CのピストンスピードはF1に匹敵するほどだってよ」
「2JZはノーマルで600psに耐えられるブロックらしいぞ」
「ブリッジ+TO4Sとペリ+T78ならどっちがいいかな」
こんな会話したって意味分かんないですよね。
(これ読んでる人の大多数が何言ってるかワカランでしょうけど)
当時はそんな感じでしたよ。

でも時は経ち自分で店を開くようになった今では面白くてしょうがない。
あのコスチュームだけは何とかならないものかとは思うけど、それにフィルターをかけて見る事で鉄人やノミニー(挑戦者)の仕事ぶりや料理のひらめきなどはホントに素晴らしいと実感する。

あの勝負の一番の見どころは全く下準備がされていない状態から、1時間という限られた時間の中でテーマ食材にのっとったコースを完成させるところ。
料理業界で働いた事のない一般視聴者からすれば特に疑問ももたないかもしれないけど料理店ではそんなことはまずありえない。

だが鉄人レベルをもってしても審査員分のコースを1時間で完成させるのはやはり無理で、アシストを2名の助手が行う。
実はこの助手達のスキルも相当に高い。
全ての料理法に精通していなければとても勤まらないし、さらに鉄人の注文には絶対に失敗してはいけないというプレッシャーとも戦わなければなりません。
鉄人も部下が何も言わずにヘルプする店と違い、面識のない人間に的確な指示を与えなければいけないから人を上手く使う事も要求されます。

他には撮影スタッフもかなり神経を使っているのが画面を通して伝わってきます。
調理しているところをアップでとらなければいけないが、料理人側はいろんな料理を同時進行しているから1時間常に動いている。
当たり前だが、料理の邪魔はしてはいけないし動線(作業する人が動くライン)を塞いでもいけないわけだからカメラマンとADも常に動きっぱなし。
特にADはカメラのコードを常に巻きとっていかないと料理人が躓いてしまうから腰を下ろした体勢で巻き取り作業に追われている。
腰痛持ちのボクにはその映像だけで腰が痛くなってくる。

テレビを見る時は正面から見ているけど、キッチンスタジアムをバーチャル的に俯瞰することで色んな面白さが分かってくる。
これも料理をずっと続けてきたからようやく分かるようになった事だから、一般視聴者は相当に料理に精通もしくは興味がなければ面白さは半分にも満たないのではないでしょうか。
それを裏付けるかどうかは別として視聴率がフジテレビ金曜ゴールデンとしては大苦戦。
このままでは春の改編期に終わってしまうのではないかと危惧している。

それと料理対決の勝敗は見ていません(それが大事だとは思うけど)
勝負なんだからそりゃあ白黒ハッキリさせるべきだけど、味覚なんて個人個人で違うんだから、そんな事どうでもいい。
人間の好みだってイケメン好きもいればゴリラ顔が好きな人もいる訳で。
ポルシェ911だって子供の頃はカエルにしか見えなかったけど、大人になって機能美ということが理解できてくると物凄くカッコイイ。

てことで、みなさん。
アイアンシェフを春に終わらせない様に是非見て下さい(見れない人は録画も)
ん?これって今話題のステマには引っかからないよね?
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2013年01月10日

新メニューの目玉

年末から装いも新たになったグランドメニュー。
消えたメニューもあれば追加されたメニューもございます。

追加メニューのほとんどは新たなものですが、いくつかは元メニューからランクアップしたものもあり、そのなかでもボクのイチオシは「カルボナーラLP401SV(1500円)」
ウチにしちゃ中々に値の張るメニューでございますが、ちゃんと値段分‥‥いや、それ以上の価値があるものと自負しております。

ちなみに元々のカルボナーラも残っていて、そちらは変わり無し(1000円)。
同じカルボナーラなのに500円の差は何故なのか?それをご説明します。

カルボナーラのタネ(ソース)は玉子・生クリーム・パルミジャーノレッジャーノ・コショウ。
それに具材としてベーコン。
タネのパルミジャーノレッジャーノ自体がそこそこのチーズ(粉)でありますが、これを特注粉チーズにグレードアップ。
それとベーコンを特注モノに変更。

変更点は2種ですがこの2種がカルボナーラの味を決めるものといっても過言ではありません。

まず粉チーズですが、こちらを燻製工房「いぶし庵」にて共同企画した(ワタシはアイデア出しただけ‥)燻製・粉チーズに変更。
チーズ自体が濃厚な味である事に加えて、特殊技術により粉のまま燻製をかけることでとてもとてもスモーキーな粉チーズにする事ができました。

ベーコンも同様に「いぶし庵」にて燻製をかけてもらいます。
元々ベーコンは仕入れモノでそこそこ美味しいブロック。
それを更に燻製にかけます。
燻製香」には塩分も含まれているので、さらに旨味が増します。
この超燻製ベーコンだけでも立派なツマミになりますが、これを贅沢にも1人前あたり100gも使っちゃいます。

全体の味が濃厚になったので、抑えを効かせる役割的にブラックペッパーを標準カルボよりも2倍ほど使う。
「ピリッとし過ぎて味が鈍くなるんじゃない?」と思う方もいるかもしれませんが、濃厚な味がキチンとブラックペッパーを受け止めてくれるのです。

こうして、濃厚なテイスト・異常なほどの燻製香・コショウのピリっと感が融合し、まさに「至高」のカルボナーラが生まれたのです。
クルマに例えればスカイラインならGTSとGTーR、ポルシェなら911カレラと911GT3くらいの違いといえば分かりやすいですかね?(分かんねえよ)

当初は「1500円するし月に2回くらいしか注文されないだろうな」なんて考えてましたが意外とオーダーを頂きました。
そして食された方の全員が「これはスゴイ!」と大絶賛してくれてます。

ところでメニュー名の謎の部分。
多くの人は意味不明でしょう。
カルボナーラLP401SVの後半部分はクルマ好きでないとワケわかりまへん。
ネーミングの由来はメニューを製作してくれている業者さんとのやりとりで、当初は「至高のカルボナーラ」に決めてたんですが業者さんが「カルボナーラってクルマの名前みたいだよね?」なんて言うもんだから、ワタクシもそれに乗っかってランボルギーニ風に命名しちゃいました。

LP401SVというのは、あのキング・オブ・スーパーカー「カウンタックLP400」からモジッてます。
400は41とからめて401。
SVはランボルギーニ車の最強モデルに冠せられる「スーパーヴェローチェ」から。
ちなみにLPはクルマ好きのみなさん知ってますよね。
ロンジトゥディナーレ・ポステリオーレ(後方縦置き)の略です。

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2012年11月15日

お祭り騒ぎ

産業祭が終わり、ホッと一息つきました。

大多数の方は祭りに来場者としてくるでしょう。
では、出店する側はどのように出店しどのくらいのコストがかかるのかを綴ります。

今回はあくまでもあきる野産業祭に絞った話し。

まずは出店届。
こちらはあきる野商工会に届を出します。
これが9月半ば頃に締めきりなので、約2カ月前に出店するか否かを決めなければいけないのです。

この届には出品する料理・飲み物等のメニューも決めなくてはいけません。
決まりとしては、一店舗につき料理・飲み物は原則1種類ずつ。
特例として現場(産業祭)で一切手を加えず販売できるものは複数でもいいのです。
例えば飲み物は1種類だけど、缶ジュース・酒などは手を加えることなくそのままお客さんに出しますから複数出してもOK。
料理も同様で、あきる野夏祭りにおけるウチを例に挙げれば、豚バラは現地加熱料理なので一品目。
それと一緒に出していた燻製チーズ・玉子は商標登録してあるもの(成分表が記載され認可されている)なので幾つ置いても良いのです。

法の抜け穴というわけじゃないけど、現地調理でも複数出す事が可能な料理があります。
例えば、出品料理を「おでん」「焼き鳥」で申請したとしましょう。
おでんも焼き鳥も、それぞれの括りの中で色んな商品がありますね。
おでんで大根しかありませんなんて考えられないし、焼き鳥でもネギマだけなんてのはあり得ません。

そして出品する料理にも色んな制約があります。
去年、保健所とモメにモメた麺類は焼そばでないとダメとか 以下参照
http://quarantuno.sblo.jp/article/49938517.html
その中で出品する料理を考えて届を出す。
お米類は基本ダメなんだけど、営業許可施設で調理が完遂しパック詰めしたものならギリOKとか、出店する側も売上あげるのに色んな知恵を使って出すんですね。
これはいいとか悪いとかじゃなく、そうしないと祭りが同じものしか出せなくて特徴が全くない平凡なものになる。
モータースポーツで言えばF1におけるダブルDRSやコアンダエキゾースト、WECのトヨタ車のトリプル・リアウィング、スーパーGTのフロント・フェンダーウィングなどなど。
え?何言ってるかわかんないって?知るかボケ!

料理を決めたら、それを調理する機材も手配しなければいけません。
料理で商売している人もしていない人でも屋外調理器具をもっているとこはごく稀。
なのでレンタルする機材もピックアップして早めに予約を入れとかないと開催期日が迫って来てから大わらわになる。
ホットプレート等の電気調理器を複数使う場合は発電機もレンタルしないといけない。
これは一区画の電力使用量が決まっている為。(少々のオーバーなら追金で可)
出店側にとって機材レンタルが実は一番頭が重い。
去年までは福生の田園辺りにダスキン・レントオールがあったんだけど、不景気の為に閉店してしまった。
なので、この辺ではムラウチ・ジョーシン電気の近くまで借りに行かないといけない。
料金は1日計算なので、本来なら土日の2日分で収めたいとこだが、産業祭の開始時間や搬入時間に制限があるので、前日金曜から借りないとまず間に合わない。
焼き鳥を焼くロースターなんかは1日2万〜3万。
準備の為に1日分余計に払わなければいけないのがイタイ。

そして当日にもやること考える事はいっぱい。
祭りには欠かせない声だしは人で賄うから、ある程度の人手がいる=人件費が結構かかる。
材料費も同様で、祭りは基本薄利多売がモットー。
ウチの豚バラも普通に店で食べれば700円はとるけど、それを400円で出してるんだから大変です。
周りも薄利多売でやってるから店と同じ価格で出してたら売れないし、売れ残る方がダメージがデカイ。
ラスト30分の投げ売りをするくらいなら最初から激安価格で売りきる方が翌年に繋げるイメージアップになります。

そして終われば終わったで、従業員さんのねぎらいで打ち上げもする。
ウチはできなかったけど、みんな仲間内で運営したりするから、終わったら飲み会に突入てのが基本。
頑張ってくれた方達のねぎらいで全国チェーン居酒屋と言う訳にはいきませんから、焼肉か寿司てのが定番。

そうして、出店料・機材レンタル料・人件費・材料費・打ち上げ費用と合算していくと、何だかんだでトイトイていうのがほとんど。
あくまで祭りですし、接客マナーなんかに注意せずに運営しますから、利益はハナから求めてはいけない風潮もあります。
祭りてのは地元の活性化が一番の目的ですから、地元の活性化にボランティアしてるくらいの気持ちで皆が参加しています。
華やかに見えて金もそこそこ動く祭りの実情はこんなものです。
なので皆さん、祭りの際はケチケチせずバンバン使って下さい。
売る側も買う側も盛り上がんなければ祭りが成立しませんから。



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2012年10月07日

仕事としての飲食業

今日の毎日新聞で興味深い記事があった。

「若者の過労自殺」
記事の中心となっていたのが「ワタミグループ」で働いていた森美菜さん(享年26歳)が膨大な業務とプレッシャーに押し潰され、自殺に追い込まれた事件の概要である。

飲食業というのは、基本的には過酷な労働条件の中で「いつか自分も店を持つ!」という目標があるから、一般労働者の2倍働いていても頑張れる。(2倍働いても給料は一般労働の半分)
実際にボクもそうだったし、料理の世界で1人前になりたい!と思ってる人ならコックでもホールでも志は一緒。

過労自殺が表面化する企業は例外なく全国チェーン展開している企業。
対して、ボクが育ってきた個人店などではまずあり得ない。
その違いは何か?

簡単に言えば「その会社(店)にいて自分にとって得るものがあるか否か」である。
個人店に入る場合は(料理人の場合)その店(会社)の味に惚れ込んで働く(修行)から、全てが得るものである。

だが全国チェーン展開している業態では、自分が仕入れや買い出しに行く事も無く、メニュー作成も開発部門が行い、送られてくる食材や出来合いの料理をほんの少し作業して出すだけ。
こんな程度の調理では(調理というレベルではないが…)自分が何をしているかの目的も分からずに、売上計画や人材育成計画書をPCとにらめっこして業務に追われる日々をすごしたって何一つ身につきはしない。

現在も故・森美菜さんの御両親がワタミグループを相手に裁判で争っていたが、今年2月に労働省が作定した「過労死ライン(月80時間以上の残業)」を遥かに超えていた、月140時間以上の勤務実態が明らかになって逆転認定を勝ち取った。

これに対しテレビにコメンテーター気取りでバンバン出ている渡辺美樹会長の発言が頭にきた。

「労災認定の件、大変残念です。4年前こと昨日のことのように覚えています。彼女の精神的・肉体的負担を仲間皆で減らそうとしていました。労働管理できていなかったとの認識はありません」

注目したいのは文頭の「労災認定の件、大変残念です」という部分。
ようするに納得いかないってことなんだろう。
過酷な労働条件を押し付けている会長の発言としてはあまりに非道い。
この手の企業によくあるのが、休日は週1で設定できても研修や会議などがあることだ。
どんな店でも人が余っている飲食店はまず無い。
会社側からしたら、人を確保し店長が不在でも店を回せるようにするのが店の責任者という言い分だが、そんな店は全国チェーン展開している店ではまずあり得ない。
仕方がないから、研修・会議がある日に自分の休日を入れてシフト作成するしか手段が残されない。

ワタミグループでは読書感想文を提出する課題があるそうで、その課題書が「夢に日付を!(渡辺美樹・著)」
その本の中で「大学を卒業した私は、会社を設立する資金作りの為に1年間、運送会社でドライバーとして働きました。その1年間はまさに地獄。実際、毎日が20時間以上の労働という極めて過酷な状況でした」と記し、2年後に社長になる夢が励みになったと説いていた。

これを読んでみなさんはどう思いますか?
おそらくは佐○急便での激務の事を言ってるんだろうけど、これは自分で仕事量にたいしての報酬が雇い側から保障されていて、尚且つ「会社設立」という夢があるからこなせたんだろう。
でもこんな業務を、長年いたって料理の腕も人脈も作れない仕事環境で激務をこなしている社員に、自分と同じ志を持てとでも言うのだろうか。
だとしたら、大企業の経営者としては失格だ。
自分が経験してきた苦労を従業員に押し付けるなんてのは言語道断も甚だしい。
ワタミグループよりも遥かに大企業のグーグルやアップルなどの社員満足度は100%に近い数字を出している。
数多くある日本の全国チェーン展開している外食産業のひとつでも、グーグルやアップルに近い社員満足度を達成できるのだろうか。
年が明ければ消費税はアップし(消費税だけじゃないけどね)消費はどんどん冷え込むだろう。
冷え込んだ消費は売り上げに直結し、人件費を減らす為に夢も希望も持てない社員の睡眠時間が減っていく。
今回の問題は氷山の一角であり、若者の過労自殺はこれからも増えていくに違いない。
少子高齢化が進んでいく中でも、若者が過労自殺していく環境は変わらずに、この国は年金を貰う年寄りだけの国へとなっていく。

こんな現実が付きつけられてる状況下でも年寄りは相も変わらず「あたしらの時は何にもなかった。いまの若者は何でもあるから幸せだ」と勘違い発言を繰り返すのだろう……。

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2012年09月06日

最近の気まぐれメニュー

facebookでは、ちょこちょことアップしてた料理をご紹介します。

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アユのバルサミコ漬け


天ぷらで食べるにはやや大きいサイズのアユが特売していたので、南蛮漬けのイタリア風をイメージして作ってみました。
塩・コショウで味付けし粉をつけて素揚げしたアユを、白ワイン・2種の料理酒・バルサミコ酢・ウスターソース等で煮漬けする要領で仕上げます。
南蛮漬って、変な作り方だと酸味がクドくてマリネのフライ版(?)みたいな感じになるけど、これはバルサミコとは謳っても、それほどバルサミコを全面に出していなのが特徴。
さわやかな南蛮漬けみたいな感じです。


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あさりとモロヘイヤのスパゲッティ


こちらは最近なにかと話題のモロヘイヤをパスタに合わせました。
あさりの出し汁とモロヘイヤのぬるぬるが融合して乳化すると、出し汁がまるであんかけのようにトロトロッとスパに絡まり、一体感のあるスパゲッティに仕上がります。


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ニジマスのブイヤベース風


ハラワタを抜いたニジマスに塩・コショウを振り粉を付けて素揚げする工程はアユ〜と一緒。
こちらはスープ状にした魚介出汁トマトソースを鍋にヒタヒタになるまで入れて、石窯(弱火)でじっくりと火を入れたもの。
中にまで染み込んだスープの味と数種のハーブで、香り高く仕上げました。


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鶏モモ肉の粒マスタードソース



ソーセージの付け合わせでよく付いてくる、つぶつぶのマスタードをベースに生クリーム・ウスターソース・醤油などなどでソースを作ります。
皮を強力粉をまぶしてカリッと焼くのと、切った時に出てくる肉汁をソースに合わせるのが美味しさのポイントです。
残ったソースにパン等を付けて食べると尚、美味しいです。


今回、ご紹介した料理はいつでも、という訳にはいきませんが事前に連絡をいただければご提供できます。
魚料理の2種は、魚屋さん次第なのもあり白身系魚のどれかみたいな料理になってきます。
そそられたらご連絡くださいませ。
できれば半日の猶予をおねがいします。
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2012年08月19日

素スパ

先日の「行列が出来る法律相談所」にて、ゲストのミョーに気になる人特集で、究極の麺料理が取り上げられていた。
基本は蕎麦なのだが、イタリア料理の素材である「パルミジャーノ・レッジャーノ(以下PR)」を蕎麦にまぶして食するものだった。
正直、拍子抜けしたが、同じ料理人である以上は、あの蕎麦が単にPRをまぶしただけでの料理ではなく、PRに合わせた蕎麦を打っているのだろうと容易に推測できる。

単純且つ乱暴に言えば、蕎麦とパスタを融合させたものだ。
ワタクシも料理人の端くれ。
自分なりの究極麺を考えてみた。

発想は番組の麺料理の方向性を逆転しただけ。
つまり、パスタに蕎麦の味付けをぶつけてみたら、良い線いくんじゃないかと。

かなり前の話だけど、テレビで紹介されて連日行列の某蕎麦家さんで、変わり種蕎麦メニューでカルボナーラ蕎麦なるものがあった。
蕎麦に和風味付けのカルボナーラのタネを合わせてるんだけど、まぁ見事にお互いの悪いとこだけが残った蕎麦だった。
おそらく、店主はいい加減なカルボナーラしか食った事無いんだろうな。
少なくとも、ウチのカルボナーラ食ったら、あんなものをお客さんに出そうと思わないもん。

それを踏まえて、パスタの味付けを和風仕立てに。
かといって、巷に溢れてる和風スパを作るんじゃなくて、和を感じさせるスパゲッティを試作してみました。
完璧な塩加減と茹で加減で仕上げたスパは、バターとPRだけで立派な一品になり得るんですが、あまりに質素なので、やる店は殆ど無いです。
そのスパのように、それでいて和の味付けを融合させて、自分なりの究極、いや至高麺ができました。

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ハイ、見事なまでに素っ気ないですね。
ボクのカメラの腕が悪いのもあるけど、全く写真映えしない。
味付けは、冷製スパの要領で塩味を効かせたスパを作り、それに醤油・白だし・PR・唐辛子を混ぜて調整。

自分なりに、よく出来た至高麺だけど、お客さんからしたら、色も具もなーんもないスパに金払ってくれるのかな。
とりあえず、今回のブログ読んで、食べてみたいと思うお客さんがいらっしゃいましたら、声かけてください。
美味しいことは美味しいですから(と思う)
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2012年07月22日

VS熱(2)

さて、前回の続きですわね。

前回は、厨房内における熱とのジレンマを綴りました。
しかしながら、食品を扱い、それをお客さんが口にするのですから、温度上昇によって起こり得る、食中毒を防ぐためにも、厨房が涼しいことには多大なメリットを築けます。
よく缶詰商品などで「冷暗所にて保存」と記されているものが多数なのですが、40℃を越える空間では、常温保存が効くものがダメになったりします。
当たり前ですが、40℃の空間は常温ではありませんね。

涼しい厨房を作り上げる前に、どこの厨房でも熱との闘いなのか?と言われれば
涼しい厨房で代表的なのは、お寿司屋さん。
そりゃ、40℃の空間でスシ握ってたら、寿司が菌で覆われてしまいます。
パン屋さんとケーキ屋さん(スイーツ店)なんかも涼しい方かな。
暑い空間では、メレンゲも立たないし生クリームも固まりませんからね。
ただ上記に挙げた業種の調理場が全て涼しいのでなく、寿司屋さんなら裏方は暑いです。

効率よく熱気を抜く事が、涼しい厨房を作る条件のひとつですが、では理想の換気扇の設置法とは。
それはガス台などの熱源直ぐ側に、壁に穴を開ける形で換気扇を設置する。
これがベスト。

しかし、この換気扇設置法は、テナントを借りて営業するのでは、ほぼ無理でしょう。
火が発生する装置の正面には耐火ボードを設置しないと、消防署からの許可がおりません。
なので、やるとすれば、広い厨房空間でいて、且つある程度のガラス張り空間にして(クッキングスクールみたいに)一部のガラス窓の代わりに換気扇を設置する。
これなら許可が下りる。

ですが、どんな店でも裏方(厨房を含む)というのはスペースとの闘い。
例えば、靴屋さんでゆとりをもった商品陳列をしていても、倉庫はギッチギチ。
こんなのは、よくある事。
なので、前述したような調理空間を作り出すには、半径50M以内にほとんど物件(住宅含む)がなく、イチから店としての建物を作らないと出来ない。
つまり、よっぽどの資本がなければ、作れないということ。
仮に無理して作っても、店舗建築を含む開業費を返済しなければいけませんから、その価格は商品に上乗せせざるを得ません。
商品価格が上乗せされれば、原材料費率は少なくなり、そんな価格構成でも文句がでない人、ようするに富裕層向けの店でないと無理だということ。
まぁこの現実というのは国内のみならず、海外でも共通ですけどね。
フランスなんかの3つ星リストランテは、前述したようなスタイルの厨房が見受けられますね。
やっぱり格差は、どんな業種であれ、いかんともしがたい現実ですなぁ。

最後に、では過酷な厨房のベストは!
石窯を備えた厨房もかなりのモンですが、ボクが知る限りでは、ウナギ屋さんが最も熱い調理場では。
あれだけの炭焼きで、常にうちわで火を起こしてるんですから、ボクが体感した中では(働いたワケではないけど)最強でしたね。
サウナの中で調理している、という表現が大袈裟ではないです。
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2012年06月28日

ナマが最高!?

昨日は、定休日の水曜日で気分はルンルン‥‥ではなく、特にやることの計画もなかったので、ヒマ時頼みのNさんと行動を共に。
多摩クリ‥ではなく多摩陸(多摩ナンバー管轄の陸運局)に用事があるというので、しょうもない話をしつつ多摩陸に向かう。
用事も終わり、昼飯を食おうてことで、行きに(昼12時頃)行列ができていた某ラーメン屋さんにて食事することになりました。
店の入り口には、製麺機が置いてある製麺室(?)があり、ここは手打ち麺なのだと容易に認識できる。
店内はキレイで、いかにもラーメン屋感がなくカフェでも通じるような、柔らかな発想で作られてるな、と感じる。
当然、味も期待していた。
だって行列できてたし。
んで、味がどうかというのは個人の好みもあるし、一応は飲食店という業態の同業者なのだからコメントはしません。
だけど言いたいのは、麺の出来がイマイチなこと。
あんだけの「こだわりの手打ちです!」的アピールをしている割には、手打ち麺の良い部分を出していない。
ハッキリいえばデメリットの部分だけが強調されたような麺である。
このブログを始めた頃にも、生麺が良いだの悪いだのは綴った。
ボク自身も、日本男児特有の麺好きなので、いろんなラーメンは食べてきたつもり。
だからこそ言えるけど、こんな手打ちなら製麺業者に委託したほうが、よっぽどマシである。
なんせラーメンは基本的に生麺なのだし、最近は顧客(店)オリジナル品や小ロット納品など、あらゆるニーズに応えた会社がいくらでもある。
同じレシピであれば、もちろん業者に依頼した方が安く浮くし、ラインナップしている製粉だって、個人店が仕入れられるものとは全然クオリティの高いものが優先的に入手できる。

あとは茹で方に尽きる。
生麺てのは、蕎麦やうどんにも言えるんだけど、大きな器で茹でないと美味しくない。
何故なら、生麺はくっつき防止の為に、大量の粉をまぶしている。
大きな鍋などで茹でれば、まぶした粉が湯に溶け込んでも、それほど影響はない。
だけど麺カゴで茹でるのは、ただのシロウト。
大体のラーメン屋さんに言えるけど、麺カゴで茹でている以上は、どんなに茹でる器がデカくても麺カゴに入れれば麺カゴ分の面積で茹でているにすぎない。
狭い中で茹でるもんだから、まぶした粉が湯に溶けても更に麺に付着する。
すると、ネチャネチャした食感の麺が出来てしまう。
冷たい麺なら、水洗いするから付着した粉が落とせるけど、温かい麺では水洗いする訳にいかないから、手打ち麺としては最悪の状態で仕上がる。
最近のラーメン屋さんでは、まず見かけなくなった、大きい麺ザルで1人前ずつ取り上げる茹で方が、手打ち麺の美味さを最も引き出す。
ぶっちゃけた話、ボクだってあの茹で方はマスターできてる、ラーメン屋でバイトしたくらいでも。
だからラーメン屋さんを営んでいれば、何なくできるもんなんですよ。
ボクが醤油系で最も美味しいと思う「春木屋」は老舗なのもあり、ちゃんと麺ザルで取り上げていた。

手打ちを前面にアピールするんだったら、美味しい茹で方を完璧にマスターしてからでないと、玄人には見破られちゃうよ。
まぁそこまで考えて食べる人なんて一握りなんだろうけど。
でも同行したNさんも同じ様に「手打ちなのに麺が美味しくなかったねぇ」と言ってたから、ボクが言ってる事は間違いではないと実感。
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2012年06月17日

味付けの勉強

何気に、前回のブログで連載(?)200回を達成してたんですよね。
週2で更新してれば1年で100回は越えるから、単純に2年間綴ってきたんだなぁ。
facebookを始めたのもあってか、当ブログをブックマークしてくれてる方が増えてきてます。
そして200回を越えてるのに、更に言えば料理人が綴ってるのに料理に関する記事が40弱(笑)
単純に5回に1回しか綴ってない計算ですね。
てことで、久々に料理ネタを。

毎週欠かさず観ている「アメトーーク」で「勉強しかしてこなかった芸人」が放映されました。
秀才芸人達が勉強のコツとかを披露してて、学の無いボクも見ててフムフムと頷いてしまっていた。
特に記憶することにそれぞれの方法があって、勉強というテーマでも中々に面白かった。

そこでボクも料理人のはしくれとして、料理のコツみたいなのを綴ります。
料理の中でも、焼く・切る・混ぜる等の作業がありますが、塩の味付けに的を絞って。

主婦さんが毎日家族のご飯を作るのは大変な事なので、塩加減がおざなりになるのはしょうがないです。
では安定して、同じ味付けにする為にはどうするか?
まずは器具を統一化する。
塩で味付けする時って、手づかみでブァッとかける場合もあれば、さじですり切り何杯とか、いろんなやり方があるけど、それを統一する。
できれば、缶状で上に穴が開いてるタイプが一番。
アルミでSの刻印がされてる標準的なものですね
この塩缶は油っ気は常に拭き取って、逆さにした時にキチンと全ての穴から出るように心がける。
そして、塩は常に補充。
なぜなら、どれくらい塩を振ったかな?というのは手首にかかる重さで覚えたりもするから、感覚が伝わるモノは常にベスト状態を維持すること。
では塩加減をどうするか?
一発で塩加減が分かれば問題ないけど、一発で決まらない人が殆どだろうし、殆どの人が味付けの時は、少〜しづつ決めていくと思う。
だけど、このやり方だと丁度いい量を感覚で覚えられない。
なので逆転の発想で、最初に「しょっぱくてもいいや」ぐらいに多めに振る。
丁度良ければ、その時の感覚を覚えられるし、失敗した時は「次回はもうちと薄く振るか」と脳で理解しようとする。
つまり記憶のインパクトを残すことで、より覚えていける。
前述した、さじで何杯てのは慎重にやるのもあって失敗はしないけど、では塩の量を覚えてるかといえば意外と覚えないもの。
野球でいえば、ヒットを量産する打者より三振かホームランかみたいな極端な選手の方が脳裏に強く残るもの。
仕事は見て覚えろ的なのも理解できるけど、見るのは視覚でしか覚えられない。
想像力が豊かな脳なら「今ので何十g入ったな」みたいに直感的に分かるけど、そんな人は一握り。
自分で手足を動かしつつ見て作業する訳だから、触覚と視覚の異なる感覚で覚える、ゆえに覚えるのも2倍の情報で記憶できる。
そして、味付けを記憶しようとする時は、雑音が脳に入らない様に心がける。
お子さんがワーワー騒いでるのは仕方ないけど、テレビや音楽を消す事はできるのだから。
ちなみにボクは厨房内で音楽が流れると全く集中できない。
よくラジオを聞きながら料理する人もいるけど、音楽が脳に侵入してくるから自分の行動を一つ邪魔されることになるんです。

それと味付けで重要なのは味加減も大事だけど、混ぜるのがもっと大事だったりもする。
混ぜるには、混ぜる料理の全体量よりはオーバーなくらいな大きい器を用意しましょう。
味付けをする時に、なるたけ全部の具材が表面に露出するように。
こうすれば塩を振る時のひとつの目安である「とりあえず全ての具材に塩を吸着させる」という行為が容易になるから。

よくお客さんにウチのイタリアンサラダの味付けを聞かれるんだけど、メインの味付けが塩だから「いやぁそれは難しいよ」と返される事が多い。
今回の記事で、味付けにグッと踏み込んでくれれば、自宅でもヘルシーで美味しいイタサラができますから頑張りましょう。
何回か真剣にやれば覚えられますから、何回かの失敗の時はダンナさんもグチをこぼさないよう、味付けに協力してください。


posted by 41 at 07:19| Comment(0) | TrackBack(0) | 料理あれこれ